福岡県 / Fukuoka

大原司朗 / Shiro OHARA

Profile: グラフィックデザイナー、イラストレーター。郷土の祭りや歴史をテーマにした作品のほか、動物をモチーフしたイラストや絵本など制作。instagramに随時公開しています。福岡県デザイン協議会会員、JILLA会員

Website: http://www.itten-d.jp/
Instagrm: https://www.instagram.com/shiro_ohara/

“祭りを残す。絵で残す。”

福岡県春日市、春日神社に伝わる「婿押し祭」(国の重要無形文化財に指定)

絵は「婿押し祭」の一場面、子どもたちによる「樽せり」。
1月の日が落ちた夕刻、見物客が押し寄せ夜店が並ぶ参道を子どもたちが境内に向かって駆けていきます。
「婿押し祭」は春日神社の近隣に住む人達にとっての正月。
祭りのあとには家々をまわり年始の挨拶をし、訪問客をもてなし新年を祝います。

「婿押し祭」のオープニングは「左議長(さぎちょう)」への点火で始まります。
1月の冷たい空気の中、バチバチと音を立て渦を巻いて火の粉が上げて燃え上がります。
鳥居を背にして伸びる道を真っすぐ行くと、お汐井(おしおい)取りへ行く春日川が。
左議長の隣にある御池での「樽せり」が行なわれます。

婿押し祭は、前年中に結婚した新郎新婦を祝福する行事。
左義長の点火のあと、「宿の行事」では花婿の挨拶、花嫁と花婿の盃といった流れで行なわれます。
新郎新婦とともにいる男性は「婿抱き(むこだき)」。
この後の祭りの間、ほかの若い衆にもみくちゃにされる婿を、守る役割があります。
昔、とても貧しく結婚できるのは限られてました。
その祝いの祭りでやっかみから婿を守るため、年長者が「婿抱き」をつとめました。

「宿の行事」を終えると、花婿を含む氏子達は裸になり、神宮の前で御祓いを受けます。
青年団長、副団長は神前に若水桶と樽を供えます。
その後、青年団長は樽の中に入った三合三勺(約0.6リットル)の御神酒を一気に飲み干します。
そしていよいよ「婿押し祭」のクライマックス、「樽せり」が始まります。

婿押し祭のクライマックスは、御池での「樽せり」です。
祓いを受け男たちは樽を持って御池へ入り、かけ声を上げてもみ合います。
そして、もみ合ううちに割られた樽の一片を手にした人がこれを神棚に供え、五穀豊穣と開運を祈願します。
樽せりのあとは、春日川へお汐井取りへ。
その帰る足で一斉に拝殿に駆け上がって参拝し、花婿を中心に祝唄を唱いながら、
全員でおしくらまんじゅうのように拝殿の中でもみ合います。
その祝唄、「祝い目出度」は博多山笠でよく知られるものより、古い形の唄が伝えられています。

2018年に描いた「婿押し祭」の「樽せり」のイラストは、「わたしのマチオモイ帖」2019年カレンダーの1月のビジュアルに採用されました。カレンダーは約70万部(前年実績)発行され、日本全国の郵便局・ゆうちょ銀行で広く配布されました。
[アーカイブへのリンク(福岡:かすが帖)]
https://www.jp-bank.japanpost.jp/aboutus/activity/calendar/abt_act_ymc_acv_a06.html